「これぞ理想の暮らし」第728回サルシカ隊がいく

投稿日: 2018年11月30日(金)17:46

川のせせらぎ。
風に揺れる草葉。
テントを叩く雨の音。
肌に染み入るような陽射し。
ランタンのガスの音。
どこまでも遠い月夜の空・・・。

まだわたしが東京で暮らしていた頃、時間をみつけては山梨や栃木のキャンプ場に通っていた。
1泊2日の短い休暇を、惜しむように楽しんだ。

また月曜日からハードワークがはじまる。
そろそろ片付けなくちゃいけない。

でもまだ小さい娘は川遊びに夢中で、河原の大きな石に腰掛け、冷たい川に足を突っ込んでいたわたしもぐずぐずと腰をあげられないでいた。
このままずっとこんな自然の中で暮らしていけたらどんなに幸せだろう。
何度そう思ったことか。

あれから15年以上。
いまわたしは三重県津市の山の中に暮らしている。
自宅のまわりは自然だらけ。
サルシカ秘密基地なんてまさにキャンプ場みたいなもんだ。

ユニフレームのキャンプ羽釜。
これが非常に使いやすく、我が家では自宅で日常的に使っている。

もちろんキャンプでも使いたいが、直火で炊いたりするとすぐさま真っ黒になるので、妻は自宅用にもうひとつ買った。
こういう買い物に理解を示してくれる妻というのは非常にありがたい存在であるが、歯止めが効かないという部分においては非常に愚かな夫婦である。
大根1本を買うのをケチったり節約したりするのに、こういったモノは迷わず買う。
愚かなのだ。

今回わたしが幸せを噛みしめるにあたっては、いろいろな条件が揃ったことが大きい。

えー、
まず神奈川県藤沢市在住の友人が松阪牛をどかーんと送ってきた。
それはそれはうれしいのであるが、松阪の隣の津市に暮らすわたしに、なぜ神奈川県の友人がわざわざ松阪牛を選ぶのか。
そこのところが非常にわからない。
そしてこの肉が松阪を出てからどのような経路を経て我が家にやってきたかを考えると、日本の流通について激しく疑問を感じるのである(笑)。

そしてもうひとつ。
こちらもユニフレームのネイチャーストーブ。
これを買ったのがそもそもの発端であったのだ。

ネイチャーストーブとは、そこらへんに落ちている小枝や松ぼっくりを燃料にするストーブである。
ステンレスの板を組み立てて箱型にする。
そこがメッシュになっていて、ここから空気を吸い上げるので煙突効果でよく燃焼するのである。

このネイチャーストーブにすっぽりはまりまっせというのが、このキャンプ羽釜。
で、思わず買ってしまったわけやね。

いつも自宅ではガスで使っているけれど、このネイチャーストーブでの使用ははじめて。
12月に冬キャンプにいくし、そのまえに練習をしておこうぜ、ということになったのだ。

平日の昼。
朝から書き続けてきた原稿をとめて、ごはんを炊く!

やはり炊くんなら、炊き込みご飯だろう!
というわけで、家に戻って冷蔵庫を物色するが・・・・・

こういうときに限って鶏肉がない。
最悪はシーチキンの炊き込みご飯でもいいや、と思っていたが、非常食のシーチキンすらない。

うーむ困った困ったと唸っていたら、冷蔵庫の一番よい場所に陣取っている松阪牛に気づいたのである。
昨夜、すき焼きにしてしこたま食べたのだが、まだまだたくさん残っている。
そうだ、これでいこう!!

牛肉の炊き込みごはんなんてゼータクなものこれまでに食べたことないが、うまいに違いない。

で、2合のコメに出汁を投入。
そのうえに、大きなすき焼き肉を2枚、布団のようにそっと置いた。

さあ炊くぞ炊くぞ〜!!!

最初は強火で一気に!!
吹いてきたら熾火状態の炭でちろちろと我慢強く20分炊いていく。

炎をながめつつ。
吹き出る湯気をながめつつ。
うーん楽しい!
これぞキャンプではないか!!!

三重県津市美里町に引っ越してきて12年。
いつのまにかこの環境が当たり前になってしまったけれど、仕事の合間に焚き火をしてごはんを炊いているのだ。
ごはんを食べたら風呂に入ってテレビ局へいくのだ。

よく考えてみたら、15年もまえに思っていたあの夢が叶っているではないか。
毎日がキャンプ。

サルシカ秘密基地はまさにキャンプ場!
わたしはキャンプ場で仕事をして、キャンプ場で生活しているのだ。

キャンプにいくのではない。
キャンプに帰るのだ(笑)。

ひとりで「わはははははは」と笑っていたら、どうやらごはんが炊きあがったらしい。
香ばしい匂いとコメがプチプチはぜる音が聞こえてきた。

15分ほど蒸らしてからご開帳!!

どーですか、これ!!
たまらん肉の匂いでっせ!!

ごはんを混ぜてみると、おおおおおお、見事なおこげが〜!!
匂いもたまりませーん!!!

娘がつくってくれた野菜スープといっしょに。
家族3人で。

おむつをして川に入っていた娘がいまや高校3年生。
来年、キャンプ場を出て京都で暮らしはじめるのだ。

疲れたらいつでもキャンプ場に帰っておいで。
羽釜でごはん炊いてあげるよ。

そういったら、娘に「糖質ダイエット中だから」と言われた(笑)。

調子にのって翌日も羽釜でごはんを炊く。

期末テストだった娘は昼前で学校は終わり。
バス停にお迎えに行っていた妻と愛犬モンちゃんといっしょに帰ってくる。

2日目はコメ3合。
すき焼き肉は3枚に。

2回目なのでさらに炊き方が上手になっている!

あちちちち、と言いながらごはんをよそう隊長のわたくし。
この日も朝からずっと原稿を書いていたのでパジャマ代わりのスウェットを着たまま。
そのまま焚き火をしていまったので、すっかり燻されてしまった。

じゃじゃーん、どうだどうが、松阪牛炊き込みごはん。
青ネギがなくて散らせなかったのが残念!
でもね、お店で出せるぐらいおいしいと思ったわさ。

そのあと、娘にも手伝ってもらって、週末ランタン通りで開催されるイベントの「せんべろチケット」を制作する。
昼の駄菓子屋は、娘と娘の友だちに手伝ってもらう予定。
そう、女子高生が駄菓子を販売するのだ!!(笑)

駄菓子は並べて画になるように大量に仕入れてきたので、絶対に売れ残る。
なので大人買い大歓迎!!!
みんなどんと来てね!!(笑)